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「とやま食文化」魅力再発見キャンペーン『とやま幸(しあわせ)の食卓』 第1回「富山を味わう幸せを伝える。」「とやま食文化」魅力再発見キャンペーン『とやま幸(しあわせ)の食卓』 第1回「富山を味わう幸せを伝える。」

たとえば晩ごはんの食卓に並ぶ昆布じめの刺身。富山では日常的なその一品には、富山の自然や歴史、先人の知恵が凝縮されています。いつでも、どこでも、食べたいものを買って、好きなだけ食べられる。
そんな今だからこそ、富山ならではの豊かさを味わい、家族で語らう食卓を大切にしたい。北日本新聞は今年も「とやま食文化」の魅力再発見キャンペーンをスタート。伝統的な郷土料理などに注目し、次代へ伝えたい“幸の食卓”を探ります。

類いまれな自然の恵み

キャンペーン第一回は、富山の食文化を育んだ、自然や人々の営みを見つめ直します。
四季折々の野山や海で、富山が多種多様な食材の宝庫となっている背景には、独特の自然環境があります。標高3000m級の山々が連なる立山連峰から、水深1000mを越える富山湾の高低差は約4000m。急峻な地形を一気に流れ下る河川は氾濫を繰り返し先人を悩ませましたが、着々と治水が進み、今や豊かな水が潤す平野には田園地帯が広がっています。さまざまな野菜や果実も県内各地で栽培されているほか、日本酒など水の恵みを生かした名産が多く、名水育ちの豚肉など畜産物の人気も高まっています。
富山湾には立山連峰などの山々から清らかな水が流れ込むだけでなく、地中の伏流水が海底で湧き出して栄養分を供給し、魚がすみよい環境が保たれています。また温暖な対馬海流と冷たい海洋深層水が層を成し、暖流系と冷水系どちらの魚も育つ条件が整っているのです。さらに“あいがめ”と呼ばれる水深1000mを越える海底谷が海岸近くに刻まれて、豊かな漁場となっています。富山湾に生息する魚は約500種に及び、ブリやベニズワイガニ、シロエビ、ホタルイカ、アマエビ、マグロ、タラ等々、一年を通して多彩な海の幸が水揚げされます。漁場と漁港の距離が近く、早朝に水揚げされた魚が、その日のうちに店頭に並ぶのも富山ならではのぜいたく。“天然の生けす”からとった魚を新鮮なまま食べることが当たり前の毎日を堪能できる幸せは、類いまれな富山の大自然のたまものです。

歴史が育んだ味わい

富山の食文化を語るときに欠かせない昆布。昆布購入の年間支出金額が日本一(2010年総務省家計調査)という県民の“昆布愛”の始まりは、かつて日本海を舞台に繰り広げられた交易・交流の歴史にあります。
江戸時代後期、幕府の蝦夷地(北海道)開発に伴い北前船航路が確立され、希少品だった昆布が日本各地に運ばれるようになりました。北前船は北海道で昆布やニシンを積み込み、日本海沿岸の各地に寄港しながら瀬戸内海を経て大阪に至り、大阪でまた新たに物資を積んで航路を往復し、盛んに交易を展開していました。その航路は“昆布ロード”とも呼ばれ、昆布は運ばれた先々の食文化に影響を与えました。なかでも富山では、だしに利用されるだけでなく、魚介などと組み合わせた独自の料理が生まれました。とろろ昆布のおにぎり、刺身の昆布じめ、ニシンの昆布巻き、昆布巻かまぼこなど、県民には定番の郷土料理は、北前船と富山、昆布と富山の歴史的なつながりを物語っています。

富山の海の幸が、遠く離れた山里の食文化に影響を与えた歴史もあります。その海の幸とは、昆布と並んで富山の家庭の年間支出金額が日本一のブリ。富山湾で水揚げされたブリは塩ブリに加工され、“ブリ街道”と呼ばれた山道を通って飛騨高山へ信州へと運ばれ、年越しの膳に欠かせないご馳走として根づきました。もうすぐブリが旬を迎える季節。かつて富山湾から飛騨・信州へブリが運ばれた歴史に思いをはせると、その味わいも一層深まるのではないでしょうか。

今に伝わる知恵と心

富山に伝わる数々の郷土料理には、美しくも厳しい風土の中で暮らしを紡いできた先人のさまざまな知恵が息づいています。たとえば夏や秋に収穫した野菜を乾燥させた「干し野菜」は、食材が乏しくなる冬の食卓を豊かにするための知恵のひとつです。里芋の茎を干した「ずいき」は今も保存食として重宝されており、乾燥して凝縮されたうま味や独特の歯触りは、煮物やあえ物によく合います。上品な味わいのずいきの白あえは、浄土真宗の仏教行事である報恩講のもてなし料理の一品としても欠かせないものでした。
報恩講のような仏教行事や年中行事、人生行事を大切にしてきた富山では、普段はつつましい食生活を送る一方で、行事にはとっておきの食材を惜しみなく使いご馳走を用意する食文化が広がりました。婚礼など祝い事を華やかに彩る細工かまぼこが生まれ、祝いのかまぼこを近所に切り分けて配る、おすそわけの風習も暮らしに深く広く浸透しています。また針供養の頃に嫁の実家から大ぶりの餅を届ける“針歳暮”や、娘の嫁ぎ先へブリを贈る“ブリ歳暮”など、食と結びついた風習も脈々と伝えられてきました。こうした郷土料理や風習、食文化はなぜ時代を越えて生き続けているのか。そこに、私たちのお腹も心も満たしてくれる、新たな食生活のヒントがあるのかもしれません。

※全体がご覧いただけない場合は横スクロールでご覧ください。

富山の郷土料理の一例

「とやま幸の食卓」

主催/北日本新聞社

パートナー/

協賛/キリンビバレッジ株式会社 北陸支社、富山短期大学
後援/富山県

企画・制作/北日本新聞社 営業局

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